比較経営論
(アメリカ)
Comparative Management (America)
講義概要
アメリカ企業は,日本企業とともに,様々なマネジメント手法を生み出しながら,全体として成長を続け、経営学領域に対しても様々な知見や洞察をもたらしている。特に1990年代以降,日本企業がバブル崩壊後に停滞を続けている一方で,アメリカ企業は,ITバブル崩壊や世界金融危機を引き起こしながらも,プラットフォーム企業に代表されるような新たな高成長企業を生み出している。こうした日米企業の違いの要因は何なのであろうか。アメリカ企業の優位性の源泉はどこからくるのだろうか。そして,アメリカ企業の経営から何を学ぶことができるのだろうか。
本講義では,アメリカ企業を,経営管理と企業制度の両面から理解しつつ,日本企業との類似点や相違点の検討を通じて,企業経営の今日的課題を考察していく。比較経営論(アメリカ)Aでは,アメリカ企業の経営管理にみられる特徴や行動様式を対象として,成長を続けるアメリカ企業を支える経営資源やマネジメントの在り方を中心に検討する。比較経営論(アメリカ)Bでは,アメリカの企業制度にみられる独自の優位性や限界、特殊性を対象として,新たな高成長企業を生み出すアメリカの仕組みや考え方を中心に検討する。より詳しい内容は、シラバス参照のこと。
〇参考書として、左記文献を上げておきます。図書館などで目を通してみて下さい。本書は、株主価値に偏重したアメリカの資本主義と現代企業について批判的に捉え、これからあるべき企業経営について提言しています。これを踏まえて、これまでのアメリカの企業経営の負の側面についてより理解が深めながら、これからの企業経営やビジネスのあり方について考えを巡らせることができると思います。
<参考文献>
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